ゲームギア版魔導物語について

唯一家庭用ゲーム機で『魔導物語1-2-3』全3編(+『魔導物語A・R・S』のA編)が移植された、ゲームギア版『魔導物語』(発売元:セガ・Aのみコンパイル)。
GG版魔導I・II・IIIそしてAは、MSX2版・PC-98版を元にGGのターゲットに合わせて気軽に遊べるような配慮がなされています。

主な特徴は以下の通りです。
○移動中は画面左側に方角が『東西南北』で表示されている。
(Iのみ特定のアイテムを入手しないと表示されません。アルルの向きが変わるときちんと方角も変わるので迷いにくくなっています)
○メニューの魔法やアイテムがアイコンで表示されている。
(そのお陰で画面が可愛らしく見える…ただ首だけしかない年取るゾウとかどんぱうんぱとか物によっては意味不明なものも;)
○最初に所持できるアイテムの数は9個まで。『アイテム袋』または『福袋』を入手する事で最高27個まで増やせる。
(『福袋』には既にアイテムが入っていて値段と中身はショップによって異なります。中にはお宝としてダンジョン内に隠されているものもあります)
○スタートボタンでコマンド・魔法・アイテムの簡単な説明が見られる。
(所謂ヘルプ機能。これを使っても分からないケースもありますが覚えておくと大変便利です)
○謎の魔法『るいぱんこ』が初登場。
(一言で表わすと魔導版パルプンテ。魔導力は消費しませんが1度の戦闘につき使えるのは1回まで。Aのみありません)
○文字数の都合で名称が変わった敵キャラ・アイテムが存在する。
(ドラコケンタウロス→ドラコ、ファイアーエレメント→エレメンタル、リムブカスの笛→除霊笛、魔導杖ピチ→ピチの杖…等
闇竜→ダークドラゴンと例外もありますが文字数が少なくなっています。どうやらテキストウィンドウの1行分にあたる7文字以内に収めている模様)

全体的に難易度は、低年齢層でもプレイできるように3DダンジョンRPGとしては若干低めに作られています。
それからぷよのキャラが活躍するRPGである事を押し出す為か、キャラの性格や設定にぷよに準じている様な部分が見受けられるかと思います。
(原作では全編通して赤・黄・緑しか出てこなかったぷよがIで5色揃って登場する、おじゃまぷよ・岩ぷよ・固ぷよといったぷよ由来の派生キャラが登場、
本来3のみの登場人物だったルルーがIIの時点で存在を明かされている等。
中でも特にその傾向が強いのがシェゾ。初期魔導とぷよでのキャラ像が混ぜ合わさった結果、オープニングや序盤での言動はほぼ原作通りなもののストーリーが進むと段々三枚目な面を見せる様になります。サタンもIIとIIIとではまるで別人…
あとAとも
勿論敵は女の子にも好かれるようにSDキャラ。IIIとAはキャラデザと作風が変わり更にコミカルになっています。

それでは各シリーズごとの紹介や感想、攻略メモに入りましょう…。(※一部反転でネタバレがあります)

魔導物語I 3つの魔導球(1993.12)
記念すべきコンシューマ初の魔導です。
その為か敵キャラのドット絵がMSX2版をベースにしたと思われるものが多い(ミニゾンビ、ゴースト、バンシー等)他、ストーリーやダンジョンの構成がGG版魔導の中で最も原作の『1-2-3』に忠実です。
(例のトラウマシーンもあります^^;)
その一方で本作オリジナルキャラクターの少年『カミュ』が、アルルの前にライバルとして突如現れ、時には競い時には助けストーリーを盛り上げてくれます。
ラスト間際のカッコ良い活躍ぶりに惹かれ、正体に驚いたプレイヤーも多かった事でしょう。…何故か塔内に自室があるのですが(苦笑)

というかアルル、何故「こんな子幼稚園にいたっけ?」と一度でも正体を疑わなかったのかなぁ?エンディングまで気付かなかったし;
作中での存在感と魔導では貴重な人間の男子キャラな事もあって人気を集めた彼は、後にメガドライブ版魔導Iでキャラ設定・役回りを大幅に変えて再登場しています。
GG版中1作目ながら最も難易度が丁度(ヌルくもなくキツすぎる訳でもなく)良かったと思います。
序盤は一昔前のRPGの様なシビアさ(油断してレベル上げや回復を怠るとすぐばたんきゅ〜する)ですが、レベルアップを重ねるとそれ程気にならなくなってきて、終盤には敵が出ると「3、4ターンでやっつけたい!」と思うまでになりました。
ラスボスも強過ぎず弱過ぎずで丁度良い塩梅かな。

アイテム袋・福袋はショップで1つも買わないことをお薦めします(1つは1階の宝箱をスタート地点から10歩目に取るという裏技で、もう1つは地下1階のある部屋ですごい福袋が貰える為。
また別の部屋には、るいぱんこを覚えられる『ピンク色の魔導書』が隠されていますが…やはり例のジャージからですか?^^;)

攻略ヒントメモ
★タウタウのお店で売買する時一度断るとお得です。 
買う時には買値が下がり、売る時には売値が上がります。他にもパキスタの店でらっきょを売ると…?
★困っている人や魔物には親切にしましょう。 
寝不足の狼男を助けると石版のかけらが貰え、ボロボロのカミュを助けるとラスボス戦で駆けつけてくれます。
★壁を作るアイテムはすぐに売らないでください。  
氷の無いスケートリンク以外にも地下2階の湖を渡る時に使います。また戦闘中ではどんえ〜んのかわりに使えます。
★汚れは壁ごと凍らせて、氷ごと蒸発させて落しましょう。  
石版をはめるくぼみの汚れを落とす方法です。この作品以外にも使う場面があるので忘れずに!

魔導物語II アルル16歳(1994.5)
プロットは原作とほぼ同じなものの、本作オリジナルの要素がIに比べて格段に増えています。
まず挙げられるものと言えば、地下牢を脱出してからもシェゾがしつこく追ってくる点ですね(笑)
その為何度も戦闘する羽目になりますが、初めは手強かったのに段々そうでもなくなるような…。アルルが強くなったのかそれともシェゾがボロボロになって弱体化しているのか…。それを指摘するアルルと必死にごまかすシェゾの掛け合いが結構好きだったり(笑)
しかもアレイアードスペシャルは失敗ばかりだった記憶が(大袈裟な擬音までつけておいて『ずっこけた』って…;)思えば彼のヘタレ化はここから始まったのかもしれません(苦笑)
オープニングで「お前の全てが欲しい」なんて言っちゃったし;
それから対面こそしないもののルルーも登場します。画鋲、針、地雷(!)で妨害しようとする他、シェゾと絡むシーンまであります。ラスト直前に控える究極の選択も有名ですね(笑)
GG版中難易度が最も高く感じました。謎解きよりも敵の強さが印象深いです(女の子の魔物が多いのに…魔導力を奪う床・ワープ地獄・壁地獄も大変でしたが;)
経験玉が溜まり辛くイリュージョンが使えなかったのも痛いです。
更にラスボスが極悪…(TT)いくら腹が立ったからって后にすると言った相手に「死ね」なんて言いながら攻撃しないでくださいよサタンさま;
(やっぱりペット>后なんですね…バッドエンド直前でちらっと仄めかすけれど)
攻略ヒントメモ
★魔導杖は壊れるまで持ち替える事ができません。 
魔導杖を使っている状態で他の杖を使おうとすると、「手から離れない」というメッセージがでます。
★どんぱうんぱを手に入れればアイテム無しで重要なものが手に入ります。 
黒い鍵は穴にらっきょをはめないと取れませんが、入口前にどんぱを置いて、鍵を取った後うんぱで戻ればらっきょ無しでも手に入ります。
★行く手を阻む炎や雷には身を守る呪文を唱えましょう。 
そのまんま。ばよひひひーの魔導書を手に入れましょう。
★究極の選択の際には必ず"どちらか"選びましょう。両方とも拒む事はできません。 
どちらも「いいえ」にするとアレイアード&サタンブレードで強制的にばたんきゅ〜されるバッドエンドに;誰を選んでもストーリー上の変化はないですが、個人的には無駄に口が悪くなるシェゾがおススメ(笑)

魔導物語III 究極女王様(1994.12)
前作よりも更にオリジナル要素が強くなり、3と比較してもはや別物と言うべき作品になっています。
オープニング(ルルーに絡まれミノタウロスに追いかけられてダンジョンに迷い込む)と結末
(ルルーとミノタウロスも古代魔導スクールへの旅に同行する)は概ね同じなのですが、目的が迷宮の脱出からルルーへの仕返しへと変わり、終始明るくドタバタした展開で進行します(3の話自体ぷよ以降の作風と異なる為、改変せざるをえなかったのでしょう)
I・IIとは雰囲気がガラッと変わったねこにゃん氏によるパッケージイラストからも分かる通り、全体的にギャグ色が強く好き嫌いが分かれるかもしれません(かつてコンクラ地下版に度々掲載されていた氏の漫画に近いノリかも)
アルルもかなり性格が軽くなり、勢いのままに行動しても悪びれないぶっ飛んだ倫理観の持ち主になっていますし(勝手に物盗るわ、壁を破壊するわ、建物半壊させるわ、果てには月まで…;)
ミノタウロスもこの作品から扱われ方が不憫になったような;
原作ではラスボスなのに…(TT)
本作発のキャラクターが多く(ぷよSUNにも登場したちょっぷんやわくぷよで厄介な敵と化したスペクターのデビュー作で他もなかなかのクセ者揃い)、おかしなイベントも盛り沢山で、コスチュームチェンジ、しおしおカー君、回復温泉等見所も沢山。
それからカエルづくし(商人も皆カエル※否のほほ・むほほ)ですがその謎はエンディングで判明します。
とはいってもそう大したものでもないので期待しない様に(^^;)
ミノタウロスの迷宮にある回復温泉の真下からワープしてみてください。スカッとするイベントがありますから(笑)他にはパロディ(タイム●カン)ネタまであります(笑)

何だか魔物が弱いような…(IIの直後にプレイすると余計そう感じる)経験玉も溜まり易く黄金リンゴを入手する機会が多いのも相まって戦闘では苦労しませんでした。
しかし要所で立ちはだかる中ボスはなかなかしぶとい為、油断せずこまめにレベルを上げておく事をお勧めします。たまに黄金リンゴが貰えたのでちょっぷん狩りもしていました(笑)
その代わりダンジョンの種類が増えた分、なぞなぞ、お使い、宝探し等、謎解きが多彩かつ難しめになっています。転送魔方陣に何度泣かされた事か…;

個人的に色々な意味でスゴイと思ったシーンは、ルルーの屋敷の柱を壊して上の階層へ侵入するという展開。強引というか危険すぎ;屋敷内にいる自身もぺしゃんこになるリスクが…と思いきや、ノーダメージでルルーも部屋に入ってくるまで寝ていたってオチでしたが(苦笑)
攻略ヒントメモ
★何気ない場所にスイッチや通り抜けられる壁があるかもしれません。詰まった場合は右見て左見てダンジョン内を隅々まで廻りましょう。 
そのまんまです。特に本作では前後・左右の壁を確認しないと見落とすスイッチが多いです。
★カレーの問題が出た時、その味を想像すれば答えは自ずと出てくるでしょう。 
ライオンの像の納豆バナナミックスカレーの問題。答えは「いいえ」。
★スイッチを押しても作動しないのには何か原因がある筈。付近を調べてみましょう。 
ルルーの屋敷の左ルートにある半分しか押せないスイッチは裏側に回ってゴミを取らないと作動しません。
★あるカエルマートでは素晴らしい果物が詰まった福袋が大変安い値段で売られています。 
最後のカエルマートでは、中身が全部黄金リンゴで、金が何とたったの10というもの凄い福袋があります!

魔導物語A ドキドキばけ〜しょん(1995.11)
ベースは『A・R・S』のアルル編で、舞台設定・登場人物・敵キャラは一部共通しているものの、全く異なるストーリーになっています。
4歳のアルルが夏休みにお婆ちゃんの家へ向かう途中、森の自然―妖精や動物の住みかを守る為、レジャーランド開発で森林伐採を行う「羽根と角が生えたハデなおじさん」ことおやかた率いるサタンビルダー社に立ち向かう冒険物語。
作風やキャラデザはIIIのノリを引き継いでいるのでコミカルでギャグチック。しかし涙有りのイベントもあります。
GG版Aで外せないのが本作のオリジナルキャラ『ソクラテス』の存在でしょう。 同行する期間は短いですが、パーツ探しから起動、そして彼の最後の戦いとなるイベントまでの流れや頼もしさから存在感は他のキャラに引けをとりません。
アルルも他作品には無い独特なキャラ付けがなされており、よそ行きファッションの可愛らしい姿とは裏腹にかなりマセていて生意気な性格。
4歳児と思えない程口が立ち、場面によってはIIIみたいにノリと勢いに身を任せた言動を見せる事も度々。
しかし目的が目的だけにIII程ぶっ飛んではおらず、仲間思い且つ根っこは正義感の強いしっかり者として描かれています。
友達として力を貸してくれる妖精さん達もまた個性的でいい味出しています。
GG版4作目だけあって操作感やグラフィックが最も良く移動も快適になっています。
レベルアップすると魔法のエフェクトが派手になる(ファイアーだと発生する火の玉が増える)ので、強くなったのが目に見えるのも嬉しいです。戦闘シーンもサクサク進むのでストレスを感じさせませんでした。
フィールドの仕掛けもIIIより更に凝っています。ダンジョンではなく森の中(とは言っても扉やボート等人工物が多いですが;)という設定故にアイディアが出やすかった為でしょうか?
IIIと同様にモンスターはあまり強さを感じない(ハッキリ言ってヌルイ)ものの、中ボスの存在やある謎解きでレベル上げをこまめに行うようにされています。
それでもおやかたの弱さにはある意味ビックリすると思いますが(^^;)
4歳児相手だから一応手加減してくれたのかな?…というよりおやかた、箪笥にあった”アレ”、まさか貴方が着けようと…?;
攻略ヒントメモ
★仕掛けの解き方が分かっているのに解決できない場合、まだ力不足なのかもしれません。 
魔法で池を凍らしたり、霧を晴らすにはある程度レベルが必要です。
★大きな穴や開かない扉は大きく力のある者に手伝って貰って越えましょう。  
キーキャラであるゴーレム「ソクラテス」の出番です。
★像となった英雄は甘いお菓子が好物だったらしいので見つけたらお供えしましょう。 
英雄カエルロッドの像をきれいにしてぷよまんを供えると、聖剣ゲロゲーロが貰えます。
★見張りをしている敵もおやかたに雇われている身、昼休みになればいなくなるでしょう。 
要塞で番をしているダイダロスを、放送室でウソの放送を流して追い出しましょう。

GG版魔導全作共通で以下の事を覚えておくと詰まる事が少なくなります。
☆黄金リンゴは移動中に食べる。
☆のうてん草・いだてん草・めんたま草は入手次第すぐ食べる。ショップで見つけ次第全て購入する。
☆マップを出来るだけ埋めるようにする。黒い部分が残っていたら、近くに通り抜けられる壁があるか確かめてみる。
無かったらワープを使うか、周辺にスイッチがあるか探してみる。(一部通れない場所があるマップも存在します)
☆転送魔方陣があったら、踏むとどこに飛ばされるのかきちんと記憶またはメモしておく。
☆ボス戦まで白手袋、セイレーンの矢等、戦闘で有用になるアイテムは温存しておく。


容量の都合で1本のソフトにつき1編となっている為、若干のボリューム不足感は否めないかもしれません。
しかし元々『片手で簡単遊べちゃう』のをウリとした気軽に遊べる作品なので携帯ゲーム機との相性は良く、魔導の愉快なノリはそのままです♪
ストーリーに直接的な繋がりは無い為どの順でプレイしても問題ありません。
難易度は個人的にはIII>II>A>I、戦闘のみで考えるとII>I>III>Aでしょうか。
かつてI〜IIIがセガによってフィーチャーフォン向けにアプリ化された他、2017年にはパソコンや他ハードの作品と同様にD4エンタープライズによってGG版全作品が限定復刻されました。